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2021/10/31
まちづくり所感

ニセコ

緊急事態宣言が解除された先日、ニセコに行って来た。

ここ何年かは毎年のようにニセコに通っている。

北海道では10月中旬以降に初雪が降ることがあるため、慣れない雪道のことを想像して少し躊躇したが取り越し苦労だった。

新千歳空港に着いてレンタカーに乗り換え、支笏湖の畔に沿ってニセコに向かういつものルートは信号も殆どなくスムーズに走ることができる。

悠然な支笏湖を見ると、私の頭には必ず破局噴火という言葉が思い浮かぶ。

カルデラ湖である支笏湖は破局噴火=巨大カルデラ噴火によって形成されている。

少し情報収集してみると、破局噴火は日本では過去12万年の間に18回起きており、約6,700年に1回の割合らしい。最後の破局噴火は7,300年前に鹿児島県南方沖の喜界カルデラで、九州の縄文文化を壊滅させたと言われている。平均すると6,700年に一度起こる破局噴火が7,300年間起こっていないということは、「いつ起こってもおかしくない」状況だという学者もいる。

過去の破局噴火は九州と北海道に集中しており、支笏湖も破局噴火のリストに載っている。支笏湖は日本最北の不凍湖で、湖の深部に火山活動による温かい水が残存して水面を温めているのが理由とされている。水面下で虎視眈々と機を伺うようで不気味だ。勿論、地震が多発する等の予兆とかがないまま突然、火柱が上がって噴火ることはないだろうが、運転中の気分は熊に遭遇するのと同程度に一抹の不安がない訳ではない。

ちなみに、阿蘇山の破局噴火のシミュレーションでは、1,000mを超える高さで100℃の火砕流が福岡市まで10分で到達するらしい。積もる火山灰は遠くほど少なくなるが、北海道まで到達し、都市インフラと機能、農作物被害など生活を取り巻く様々なものが壊滅的な打撃を受けて日本は甚大な被害を被ると言われている。

支笏湖を抜けて美笛峠を越えて進むと、「きのこ王国」がある。私はいつもここで「きのこ汁」をいただく。飛行機が新千歳空港に14時頃に着くため昼食のタイミングを逸するが、きのこ王国は有難い存在だ。

きのこ王国

きのこ王国を運営する会社は、きのこの生産、加工品製造、販売の他、一般小売、レストラン等の事業を行っている。この大滝本店の他、数店舗があるようだ。生産工場、加工工場は別の場所にあるが、大滝本店にも小さな製造工場があり、きのこ狩りのような体験もできる。

きのこ栽培ルーム

きのこの加工品を中心に、Tシャツ等のグッズも販売されている。それにしても、加工品の種類が多いことに驚かされる。地域の食資源を活用した製造、販売、食事が一箇所でできる「製販食一体型」施設の訴求力は高く、集客、売上増強の面で有益に働くと考えている。

きのこ王国店内

留寿都村から喜茂別町、真狩村へ入ると羊蹄山がはっきりと見えてくる。蝦夷富士と別称される羊蹄山は独立峰で、正に殆どの子供が描くであろう山の形をしている。

羊蹄山に向かって

北海道の日没は九州より小一時間ほど早い。宿泊は前回も利用した個室に源泉かけ流しの半露天風呂が付いた宿にした。トータルで評価した場合、他に同様の宿があればそちらを選択するかもしれないが、予算を考えればこの宿になってしまう。新型コロナが完全に治まった訳でもないため、大浴場のような大勢の人と接する機会を減らせることと気が向いた時に入られるのが有難い。食事は付けず、セイコーマートで酒とつまみを持ち込んだ。セイコーマートは北海道を中心に展開するコンビニで、地産地消を意識した商品が多く、ザンギなどは店内で製造販売しており、外部の者にとっては北海道をプチ堪能できる。

さて、REASASでニセコ町のデータを少し調べてみた。

ニセコ町の付加価値額は161億円で、建設業、農業、宿泊・サービス業がいわゆる稼いでいる産業となっている。建設業の高さは全国の地方都市でよくある傾向だが、農業、宿泊・サービス業は北海道とリゾート地としてのニセコの特性が顕著に表れている。労働生産性は646.6万円/人で全国平均(901.8万円/人)よりも低い(1,165位/1,719市町村)。

ニセコ町では付加価値額161億円よりも大きい241億円が所得として分配されており、地域外から80億円が流入していることになる。内訳は地域外へ通勤している人が稼いでくる所得(6億円)と財政移転(政府支出―税金=82億円)が流入、本社等への所得8億円が流出となっている。夜間人口1人当たりの所得は4.87百万円で全国平均(4.18百万円)と比べても高い。

ニセコ町では買物や観光等の消費が26億円、投資が21億円、移輸出入額(経常収支)が33億円、地域外へ流出し、エネルギー代金4億円が流入している。

上記データは2015年のもので、2010年の段階では43億円の投資が地域外から流入していた。僅か5年後には60億円を超える流出に転じている…。ニセコ町はリゾート開発等で活況をみせていたが建設投資や宿泊消費に対応する事業者不足とその獲得や育成が追いついていないため(人手、人材不足)、投資資金が流出に転じたのだろうか?

大雑把ではあるが、ニセコ町は消費、投資、移輸出入による支出を抑えることが求められている。

翌日はニセコ駅、ニセコビュープラザに寄ってみた。

ニセコ駅・後方にはニセコアンヌプリ

ハロウィンの時期のためニセコの街はカボチャだらけ

ニセコビュープラザは農産物直売所や観光案内所等から構成される道の駅。残念ながらメロンの季節は終わってジャガイモが所狭しと並んでいた。ここには地域で収穫した旬のものを持ち込んでいるのだろう。大型バスも何台か来ており、緊急事態宣言解除後、出掛けたい欲求を開放された人たちが堰を切ったように訪れていた。

ニセコビュープラザ

ニセコビュープラザの屋外産直コーナー

温泉に入るだけで、元々アウトドア派ではない私だが何故かニセコの風景や空気感が好きである。が、何日も滞在するほどの時間とカネの余裕もない。後ろ髪を引かれる思いで札幌へ向かった。今回の羊蹄山はその頂に雲が掛かっており、晴れるのをしばらく待っていたが無情にも次から次へと雲が途切れることはなかった。

羊蹄山

未練がましく中山峠から振り返ってみたが、やはり雲が掛かっていた…。

中山峠から羊蹄山を振り返るが…

何故か猿回しをやっており、心ばかりのじゃら銭を投げ入れた。猿回しは1,000年以上の歴史があるらしい。私の隣に仔犬を抱いた人が見ていたが、猿はいたって平静に技を披露していた。何れにしても、猿も大変だ…。

猿回し

札幌では必ず行く炉端焼きの店がある。

スタッフは皆、女性。大袈裟に言うと女性が活躍する仕事場。大きな炉を「コ」の字型にカウンターが回り、漁師小屋をイメージしたインテリアと仄暗さのなかで、真ほっけとアスパラガスの炭火焼を国稀のぬる燗で煽り、ただ美味いものを食べるだけにしか思考を巡らすことのない至福のひと時を堪能した。

炉端焼きの店

真ホッケ

翌日帰福の際には、新千歳空港では既に今度はいつ来られるかを考えていた。ニセコに限っては、私は「答え合わせの旅」をしないことで、かなりの現実逃避をしている。日常から解放される時間と空間をに浸れるのは至高の贅沢である。

 

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